第32回東京建築賞・共同住宅部門優秀賞受賞
二子玉川のタウンハウス-69
竣工2004年(69戸/軽量スチール造)
施工:栗本建設工業(株)
家族向け69世帯の1棟長屋である。
敷地は、家庭菜園、小学校、戸建住宅が取り巻く閑静な住宅地に位置する。北側接道のみの敷地を分断する都市計画道路や埋蔵文化財包蔵地など計画上不利な条件の多いL型変形敷地。設計者によれば、「長屋」を採用することで解決が図れたという。建物は、敷地の縁と内側に連続して2、3階建ての住戸が1棟として配置されている。遠目からは、高さを揃えた壁面が敷地を縁どって見える。最大戸数の確保と動線、パブリックやプライベートな空間の取り方は、よく整理されている。歩車道分離のゲートの先に住棟に囲まれた広場が開ける。生活臭を感じさせない共用の通路を兼ねた広場には、戸数分の駐車スペース、路地、溜まり場、井戸の親水面まであり、窮屈さがなく、住まう楽しさを演出している。住戸の玄関は、すべてこの広場に面している。
平均80~90m2の家族向きの住戸は、戸建感覚の17タイプ。連続した外壁も窓の位置や白を基調に若草色との対比で、単調さを押さえ表情豊かなファサードでリズム感がある。2階を主とした生活の場、上下に水廻り寝室があり、玄関と2階リビングが吹き抜け、採光と通風を確保している。屋上物干しや屋外機は、パラペットやルーバー手すりなどで目立たせない工夫もされている。
建物の構造は、法規制や様々な住戸タイプに対応させるため軸組みを軽量鉄骨の耐火構造としているが、しっかりした納まりディテールがうかがえる。防犯、防災面では、避難通路やオートロック、ITV監視等の設備がニューファミリー層の人気を勝ち得ているという。将来、入居者の家族構成の変化などで建物の改造などが気になるが、テラスハウスの1つの形態として好感がもて秀作である。(福島 賢哉) 東京建築賞☆審査評より
全部で69世帯の一棟長屋
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