フライブルク市のヴォーバン地区にて。2億円かけて建てた 円柱の建物の正体・・設計者ロルフ・ディッシュ(Rolf Disch)氏による、太陽の向きに合わせて回転する実験住宅です!
今回の案内役 広報 Tobias Bubeさん
ディッシュ氏が1996年に実験的に建てた自邸、ヘリオトープである。この円柱型の木造住宅は、通常は日の出から日没まで東から西に建物ごと半回転し、ガラス面から建物に太陽光を取り入れる。夜になると逆転をしてまた元の位置に戻るという大変奇抜なアイディアによって建てられた。夏場は日射遮蔽のために、建物のガラス面は太陽に背を向けて回転してゆく。よって屋根の上の太陽光発電は、建物の回転とは無関係に、常に太陽の方向を追って回転する(垂直方向にもパネルが回転し、太陽のトラッキングによる発電効率の向上はおよそ30%である)。
この住宅の設計においてディッシュ氏は、住宅が一体どれだけのエネルギーを作り出すことが出来るのかを試みたとされており、外壁の断熱性能にはパッシブハウス基準を適応している。現在もディッシュ夫妻自らがこの住宅に住みながら、実測で消費エネルギーの約4倍のエネルギーを生み出している。現150トンもの建物の自重を木造の円柱で支えるこの特殊な構造には、当時計算手法が確立されていなかったため、大学や研究機関で解析を行い、風圧に対するその安全性が立証された。集成材の接着剤の強度を、木部分の強度と同じにすることで、構造体への応力集中を防いでいる。
円柱の周りに配置された居住スペースはゆるやかな曲線を描きながららせん状に旋回、円柱の中には住宅の本来の動線となる螺旋階段が(いわば外周の大きな螺旋階段の近道として)配置され、そのシャフト部分には必要な設備配管がおさめられている。
建物のガラスの外壁側には、バルコニーが配置され、手すり部分に垂直に真空太陽熱温水器が取り付けられている。2-3世帯分の給湯と暖房需要を賄っていることから、明らかなオーバースペックである! 発電された電力は全て電力会社に売電、必要な分を買い戻す。熱交換換気装置の給気はアースチューブにより地熱を利用、建物一階にはバイオマス・ボイラーを有する。トイレからの汚水と台所のディスポーザーで粉砕された生ごみは、バクテリアを投入した乾式の浄化槽で処理され、年に一度ごくわずかな汚泥が庭の有機肥料として取り出される。そのあまりの少なさに、ディッシュ夫人は拍子抜けしたという。
その他風呂場等からの汚水は屋外にある3つのビオトープ(池)で段階的に浄化されている。この住宅を再度建設するためのコストはおよそ160万ユーロ(約2億円)、この実験的なプロジェクトによって積み上げられたノウハウをもって、ディッシュ氏はソーラーシティのための“現実的な”回答を導き出すことになる
個人的に関心、螺旋階段の支柱(真ん中の丸い柱)が給気口にもなっている!こんどやってみようかな・・
円柱の建物から導き出された住宅が・・下のプラスエネルギー住宅群になりました
ディッシュ氏のソーラーシティ、プラスエネルギー・ハウスの様子
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